無職の生活は不安と隣り合わせです。
「このまま仕事が決まらなかったら…」
「自分は社会不適合者だ」
仕事がないと自分が落ちぶれた人間になったみたいで、自己嫌悪や罪悪感、絶望感などのネガティブな感情ばかり沸き起こります。
心配性の人なら眠れない日が続き、精神的にも肉体的にも辛くなって、最悪の場合病気になってしまうかもしれません。
そうならないよう、無職生活で不安を感じる理由と、不安な気持ちの解消法を紹介します。
目次
無職が不安を感じる本当の理由
無職を経験していない人の中には、「無職になったの?じゃあ仕事を探せばいいんじゃね?」と安易で身も蓋もない意見を言う人もいるでしょう。
でも本人にとってはそんな単純な問題ではありませんよね。
まずは、無職が不安を感じる理由を掘り下げてみましょう。
実は仕事が決まることも不安
無職で不安なのだから、仕事があれば不安が解消すると思うのは、シロウトの浅はかな考えです。
矛盾していますが、無職の人は仕事が決まってしまうのも不安なのです。
「???」
分かりませんか? 理解できないあなたは、無職の「才能ナシ」です。
「なんとなく理解できる」と答えたあなたは「才能アリ」で、「その通り!」と思ったあなたは「特待生」レベルで名人昇格も夢ではありません。
なってみると分かりますが、無職という状態はとても楽です。
人間関係の摩擦はなく、好きなだけ寝ていられる自由な時間がある一方、疲労という苦痛はありません。
仕事を始めることは、これらの権利を手放すことを意味します。
誰だって、
「楽な生活さようなら」
「苦痛な毎日こんにちは」
というのは気が重いものです。
働いている人からすれば、「それが社会人」「仕方のないこと」「当たり前のこと」と考えるでしょうが、
無職を経験すると楽な生活に慣れきってしまって、いざ社会に踏み出そうとしても、勇気、踏ん切り、覚悟が決まらないものです。
この気持ち・感覚は体験した人でなければ本当の意味で理解できないでしょう(偉そうに言うことではない)。
もちろんお金の不安は大きい
続いて現実的な問題。お金がないことも大きな気がかりです。
世の中はお金さえあればほとんどの問題が解決します。お金は社会で一番有用な道具です。
極端な話、無職から脱出したいといっても「仕事が欲しい」のではなく「お金が欲しい」のが本音ですからね。
僕自身も大金が手に入ったら今の仕事は絶対に辞めます。
そのようなお金も働かなければ減る一方で、減りゆく貯金通帳を眺めては将来の不安がつのるのは当然です。
とはいえ、単純に衣食住に困ることも心配ですが、無職のあなたが不安になる理由はそれだけではありませんよね。
人生を豊かにする「最低限の生活費」以上のお金も欲しいはずで、この欲望が心のザワつきを生みます。
たとえば友人が「車を買った」「家を建てた」と聞けば、今の自分と比較してみじめな思いになるでしょう。
自分より後輩が「結婚した」「子供ができた」と知れば、自分には手に入らない幸せがあるのだと痛感するはずです。
「お金がない」というのは、自分は当たり前の幸せが手に入らないという事実を突きつけられる側面もあるのです。
無職の不安は生活ができないことよりも幸せになれないことに起因するのではないでしょうか。
関連記事無職で貯金なしはこんな暮らしになる:貯金なしから脱出する方法
劣等感がハンパない
無職の状態は劣等感がハンパありません。
お金がない不安はどちらかというと本人のみで成立する感情ですが、劣等感は他人との比較で生まれます。
儲からない仕事をしていても、社会的な立場があれば自分を取り繕うことはできます。
売れないライターでも「出版関係者」や「物書き」と名乗れば聞こえはいいですし、派遣社員も勤め先が車関係なら「自動車製造業」で通じます(売れないライターや派遣を差別してるのではありませんよ)。
しかし無職は文字通り「働いてない」のですから、ごまかすことはできません。
世間は学校を卒業すれば働くのが当然と考えてるので、働いていないあなたは世間の「当然」を満たしていません。
「当然」をクリアできていないために、自分を社会的に劣った存在と感じるようになるのです。
もちろん無職でも人間的な価値が下がったわけではありませんよ。
無職だからといってあなたへの態度を変える人は少ないでしょうし、多くの人が協力的に接してくれるでしょう。
でもいくら周りが協力的でも、自分自身が感じる「劣等感」からは逃れられません。
「気にしなければいい」といっても、やっぱり人は世の中の価値観を無視できないものです。
劣等感は無職期間が長くなるにつれ大きくなるもので、最初は挽回可能だと思っていた気持ちもしだいに萎(しぼ)んでしまい、気づけば自分は落伍者だと認識してしまいます。
劣等感は何をするにも弊害になります。
面接でオドオドした態度をとってしまい、それが原因で落とされ、さらにふさぎ込んでしまうという負のループに入ります。
「もう社会に復帰できないかもしれない……」
そんな不安がピークになり、人生に絶望を感じるのが無職中期から長期くらいです。
不安を感じすぎると起きる悪影響
無職で不安を感じすぎると、生活にさまざまな悪影響が出ます。
本来不安は瞬間的に感じるだけなら、危機を回避したり計画的に物事を進めるための発奮材料になります。
しかし無職は不安が継続的に続くため、小さなことにも不安を感じる不安障害のような状態になります。
ここでは不安が引き起こす悪影響を紹介します。
自信がなくなる
無職の状態はことごとく人間から自信を奪っていきます。
「わたしは無職です!」と力強くアピールできるくらいメンタルが強ければ問題ありませんが、一般的に「無職」は隠しておきたい情報です。
でも就職面接では必ず聞かれるし、友人に会えば今の仕事を尋ねられるので、隠し通すことはできません。
人間は引け目・負い目があると態度に表れるもので、そんな場面ではどうしても自信のない姿を見せてしまいます。
そしてやっかいなのが、無職の期間が長いほど不安は大きくなり、不安の大きさに比例して自信もなくなっていくことです。
仮に無職1ヶ月目の場合、あなたは恥ずかしさを感じますか?
たぶん、そうでもないはずです。
「少しゆっくりしてから仕事を探すよ」
「なかなかいい仕事が見つからなくて」
期間が短ければどんな言い訳もできますし、聞かされたほうも「そうなんだ」と納得します。
でも、無職が数ヶ月と続いたらどうでしょう?
「少しゆっくりしてから」は「ゆっくりしすぎだろ!」に反応が変わりますし、「なかなかいい仕事が見つからなくて」は「どこか欠陥のある人なのかな?」と疑われること必至です。
期間が長くなるほど「無職でいる理由が欲しくなる」のですが、納得できる理由はどんどんなくなっていきます。
そして理由がないことはすべて本人の問題として判断されます。
年単位で無職だと「どうせ採用されない」「友人に会いにくい」というプレッシャーからあきらめの境地に達します。
その結果、ますます生きていく自信がなくなるという負のスパイラルに陥ります。
無職期間が長ければ長いほど、自信もどんどんなくなっていくのです。
精神的な疾患を招く
うつ病などの精神的な疾患のために仕事を辞めた人もいるでしょう。
でも、世間は無職である理由を好意的に受け取ることはありません。
特にあなたのことをよく知らない人から見れば、単なる甘えなのか本当に病気なのかは判断できませんし、知りたいとも思わないでしょう。
無職の期間中にそんな感情を向けられると精神的にこたえます。
精神の問題で休んでるのに、休んだせいで不安が増幅し、さらに状況が悪化する事態も考えられます。
社会復帰するためハードルが上がり、かえって精神的な苦痛を大きくする可能性もあります。
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生活の乱れにつながる
無職の期間が長くなると人との関係が煩わしくなります。
人と会って話をしない限り無職だとバレないし責められませんから。
最初は知人・友人との接触頻度が少なくなり、しだいに家族を含めた近しい人も遠ざけ、究極的には日中の喧騒やザワザワした雰囲気も落ち着かなくなります。
こうなってくると落ち着くのは深夜の静けさで、夜起きている生活が気分的にベターになります。
夜中であれば誰かに話しかけられる可能性がありませんから、心穏やかに生活できるのです。
しかし精神的には楽でも、陽に当たらず運動もせず、食事もいいかげんでコミュニケーションさえ取らない生活は人間生活としては不適切です。
これから社会に復帰する前提なら、生活の乱れは明らかに障害になります。
不安になる気持ちの解消法
無職は精神的に不安定になりやすく、無職である以上「気にしない」のも難しいものです。
かといって何もせずにいれば、無職期間が長引いて不安も大きくなる一方です。
無職期間は「何もしない」のが一番問題で、「何かする」のならわりと心の平穏が保てます。
たとえば就職活動と称して仕事を探しただけなのに、偉くなった気分になった経験はありませんか?
これは「何かする」という行動をとったために、自分に自信ができた証拠です。
何もしないことを避けられるよう、簡単で続けやすく効果のある不安解消法を紹介します。
昼夜逆転を直す
今すぐにできる不安解消の基本は、昼夜逆転を直すことです。
家にずっといると間違いなく昼夜逆転の生活になっていきますが、この生活はデメリットしかありません。
多くの人が活動する昼に寝ていれば、どうしても人と接する機会は少なくなります。
夜に起きると店も閉まっているため、買い物や趣味の行動範囲が狭まります。
社会は基本的に昼に開かれ夜に閉じるわけで、社会からの孤立を避ける意味でも昼夜逆転の生活は正しましょう。
夜行性でない人間にとって昼夜逆転の生活は悪影響ばかりです。
「眠いよー」「あと5分だけ」と思いながら起きる毎日は、社会復帰すると必ずやってきます。
だから無職でもせめてこのくらいの負荷は自分に課して、早寝早起きを心がけておくと後々楽です。
関連記事無職の平均睡眠時間
人と話す
無職の状態だとなかなか勇気がいりますが、あえて他人と話をしてみましょう。
話すなら初対面の人が望ましく、緊張感を感じる相手が効果的です。
話をしてみると分かりますが、無職でも堂々としていると相手もそれなりの敬意は払ってくれるものです。
むしろ「無職です」と伝えて普通に話をすると、あなたに違った印象を持ってくれるはずです。
どこかで社会復帰するのなら、他人とコミュニケーションを取るのは避けられません。
日常会話や雑談くらいは訓練しておきましょう。
利害関係のない人なら、たとえ間違った発言をしても叱られませんし、安心して話ができるはずです。
「赤の他人とプライベートな会話なんてハードルが高すぎる!」とか「そんな機会がそもそもないよ!」という人は、お店の人なんかでも十分です。
会話をしない期間が長くなるとますます社会復帰できなくなるので、とにかく人と顔を合わせて話すだけでも日々実践しましょう。
辞める行動をしたことは前進したことと同じ
これは具体的な方法というより、激励の意味でお話します。
あなたが一度でも仕事をしたことがあってその仕事を辞めたのなら、それは何か行動をした結果です。
「仕事を辞める」という行動はそれなりにエネルギーがいるもので、たとえアルバイトでもこれをあなたはクリアしたわけです。
問題のある会社を辞めたくても辞められず、惰性で仕事を続けているよりは行動を起こしただけ前進と言えます。
少なくとも現状を変えようと行動したわけで、行動力「0」でないことは間違いありません。
むろん仕事を続けることは立派で、仕事に就いている人は社会的にリスペクトされるべきでしょう。
でも、惰性で仕事を続けて現状を変える行動ができない人も多いですから、世間の評価に自分を当てはめて、仕事を辞めない人の方が立派だと思わないこです。
会社を辞めるという行動ができたあなたは立派です。
今の自分や人生に絶望するのではなく、仕事を辞める行動ができた自分をまず褒めてあげましょう。
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まとめ
無職の辛い気持ちや不安な心境について書き綴ってみました。
世間的に無職の人は仕事がなくて落ち込んでると思われがちですが、案外そんな単純なものではありませんよね。
僕も無職の期間を経て、仕事が決まってから初出社までの間は「嬉しい」とか「頑張ろう」という前向きな感情は全くありませんでした。
ひたすらイライラして親に八つ当たりしていたことが記憶に残っています(笑)。
ただ、いざ働きに出てみると仕事もそれなりに楽しく、人間関係も含めて環境に慣れてしまうものです。
眠れないくらい思いつめると、精神的に苦しくなって余計に絶望するハメになります。
まずは普通の生活、普通の人付き合いを心がけて、軽い気持ちで世の中と向き合うことが大切だと思います。
この記事を書いた人:Shijima