無職だと生活が苦しいもの。失業保険をもらってもお金が不足しがちになります。
生活費の穴埋めとして、まず思いつくのはアルバイトではないでしょうか。
しかし、失業保険(失業手当)を受給している間にアルバイトをするには注意がいります。
アルバイトの期間や労働時間によっては、失業保険が減額されたり支給停止になることがあるからです。
減額や支給停止にならないためには、アルバイトは1日4時間以上で週20時間未満の短期バイトにとどめておくことがポイントです。
ポイント
失業保険受給中にアルバイトをするなら、
1日4時間以上、週20時間未満の短期・単発バイトにとどめる
なぜこのような短期・単発バイトにすべきなのか、失業中のアルバイトの注意点をわかりやすく解説します。
また、失業中に手掛けやすいおすすめの短期バイトも紹介するので、あわせて参考にしてください。
↓今回の内容は動画でも解説しています。
目次
アルバイトが可能な期間
失業中はアルバイトできる期間とできない期間があります。
まず、退職してハローワークに求職申込みをするまでの間は、どれだけアルバイトしても構いません。
しかし、求職申込みをした後の7日間の待期期間中は、アルバイトは一切できません。
その後、自己都合退職なら2ヶ月(5年以内3回目の退職からは3ヶ月)の給付制限期間があります。
この給付制限期間中は、アルバイトしても大丈夫です。
ただし「就職した」とみなされる範囲で働くと、失業保険が支給停止になるので注意しましょう。
そして失業保険の受給期間中はアルバイトをしてもかまいませんが、失業認定日にハローワークへ申告する義務があります。
申告の内容によって、失業保険は支給停止・減額・先送りのどれかになります。
では、申告内容で失業保険がどう変わるかを見ていきましょう。
アルバイトすると失業保険はどうなる?
失業保険受給中にアルバイトをすると、失業保険は「支給停止になる」「減額になる」「先送りになる」のどれかになります。
この中でもらえる金額を多くしたいなら、「先送りになる」を選ぶのが一番得です。
これら3つのケースを詳しく解説していきます。
支給停止になるケース
失業保険受給中は長期のアルバイトをすると「就職した」とみなされ、失業保険の支給がストップします。
具体的には雇用保険の加入条件である以下の条件を満たすと、支給停止になります。
失業保険が支給停止になる条件
- 1週間の労働時間が20時間以上
- 雇用期間が31日以上
この条件を満たしてしまうと雇用保険の加入義務が発生するため、バイト先に「就職した」ことになってしまうのです。
なので、失業保険受給中のアルバイトは「週の労働時間が20時間未満で、期間が30日以内」の短期バイトを選びましょう。
もし長期でアルバイトをするときは、就業手当を申請することができます。ただ、就業手当は支給率が低くあまり得する制度とは言えません。
「アルバイト版の再就職手当」とも言える就業手当については、↓こちらの記事をご覧ください。
関連記事アルバイトで就業手当を申請すると損になる?再就職手当との違い
減額になるケース
アルバイトでも1日4時間未満の労働は「内職または手伝い」という扱いになり、給料の金額によってはその日に支払われる失業保険が減額されます。
失業保険が減額になる条件
- 1日4時間未満の労働
いくらもらったら減額になるかは、下の式で計算されます。
ただちょっと複雑なので、減額されないためにも1日4時間未満の労働は避けた方がいいでしょう。
【減額の計算式】
A:基本手当日額+収入(内職等による1日分の収入金額-控除額)
B:前職での賃金日額×0.8
1.AがBより少ない、あるいはAとBが同じ金額の場合・・・全額支給
2.AがBより多い場合・・・差額が減額されて支給
3.1日分のアルバイト収入がBより多い場合・・・支給なし
減額されても失業保険を受給した日数としてはカウントされます。なので、働いた分だけ損してしまいます。
損しないためには1日の労働時間が4時間以上のアルバイトを選ぶ方がいいでしょう。
先送りになるケース
1日4時間以上の労働は「就職または就労」という扱いになり、働いた日は失業保険が支給されません。
失業保険が先送りになる条件
- 1日4時間以上の労働
しかし、失業保険が消えてなくなるわけではありません。働いた日の分の失業保険は、受給終了後にちゃんと支払われます。
下図のように支払われる時期が先送りになるだけなんです。
結果的にはこの「先送りになるケース」を選ぶのが、一番得になります。
後で失業保険が満額もらえますもんね。
失業保険を減らされることもなく、給料ももらえるのだから、失業保険受給中はこのパターンを選ぶのがベストです。
ただし失業保険の受給期間は離職日の翌日から1年間なので、受け取れる期間内で先送りしましょう。
ハローワークへの申告方法
失業保険受給中にアルバイトをしたら、失業認定日にハローワークへ申告しましょう。
失業保険受給中は、4週に1度ハローワークへ失業認定を受けに行く必要があります。
関連記事失業認定日って何するの?ハローワークの初回認定日の流れと注意点
アルバイトの申告は、このとき提出する失業認定申告書で行います。
失業認定申告書のカレンダーに、4時間以上の労働なら○を、4時間未満の労働なら×を記入します。
失業認定申告書の記入方法
4時間以上(就職または就労)⇒ 〇を記入
4時間未満(内職または手伝い)⇒ ×を記入
ここで嘘の申告はダメですよ。申告書に嘘の記載があると失業保険が打ち切られたり、3倍返しの罰則を受けたりします。
先ほどお話した通り、4時間以上の労働なら支払いが先送りになるだけなので、「申請したら損をする」わけではないんです。
だから、嘘を書かずに正しく申告しましょうね。
失業中のおすすめ短期バイト
失業保険を減額・支給停止されない範囲で働くには、短期バイト・単発バイト・日雇いバイトがおすすめです。
中でも退職後の社会人がアルバイトをするなら、「学生がやらないバイト」が狙い目です。
なぜなら短期バイト・単発バイトは学生に人気が高く、募集開始とともに学生でいっぱいになることが多いからです。
学生がやらないバイトとしては、運転免許が必要なバイトや、スーツを着るバイトがあります。
他にも応募条件に社会人経験が必須だったり、対象年齢が高そうなバイトも取り組みやすいでしょう。
ここでは社会人経験のある30代や40代にもおすすめの短期バイトを紹介します。
治験
治験とは発売前の医薬品や健康食品・化粧品などを使用して、専用の施設の中で血圧・体温・採血・体重などのデータを提供するアルバイトです。
正確にはアルバイトではなくボランティアなのですが、1日2~3万円、一週間で15万円など高額な報酬がもらえます。
拘束時間は長いですが、検査を受ける時間以外は自由に過ごせるので、時間のある無職には非常に向いています。
関連記事一週間で15万円!?高収入な治験バイトの実態と探し方
交通量調査
交通量調査といえば短期バイトの定番です。交差点などで椅子に座って、通過する車の台数を数える仕事です。
年齢は関係ないので、中高年も割と働いています。冬場は寒くてキツイですが、夜中の調査は時給が高いのでおすすめです。
試験官
資格試験や大学受験の試験官バイトは、応募条件に社会人経験が必要な求人が多いので狙い目です。
スーツを着るので、会社員のときと同じ感覚で働けるのもメリット。他の短期バイトと比べても時給も高めです。
スーパーの棚卸し
小売店では定期的に商品の在庫を数える「棚卸し」をしています。
大きなスーパーやディスカウントストアでは商品の数も多いため、棚卸しの期間だけ短期バイトを雇うことがあります。
基本的には営業時間外である深夜に行うことが多いので高時給になります。商品を数えるだけで楽なのもいいところ。
Uber Eats配達パートナー
Uber Eatsは海外で普及している宅配フードサービス。東京・大阪を中心とした大都市圏でサービスを展開し、地方にもどんどん普及していってます。
Uber Eatsに登録すると、提携レストランから料理を届ける配達パートナーとして配達ができるようになります。
アルバイトではなく業務委託なのですが、ハローワークに申告しておけばアルバイトと同様に失業保険が受給できます。
自分の自転車や原付で好きな時間にできるので、失業中にする仕事としてはピッタリでしょう。
関連記事Uber Eats(ウーバーイーツ)配達員は稼げるのか?実際の収入額&始め方
短期バイトの上手な見つけ方
短期バイトは募集が始まるとあっという間に定員になってしまいます。
見つけたらすぐに応募ができるよう、あらかじめ求人サイト・アプリに登録しておくのがベストです。
条件のいいバイトを見逃さないよう、複数登録して網の目を張っておきましょう。
スキマバイトアプリなら、すぐにできる単発バイトを見つけられ、募集が始まった瞬間に通知を受け取ることもできます。
関連記事スキマバイトおすすめアプリ6選!実際使って分かったメリット・デメリット
ここでは、短期バイト・単発バイトを見つけやすいサイト・アプリを紹介します。
タイミー
タイミーは空いた時間ですぐ働けるスキマバイトアプリです。
スキマバイトアプリの中でも知名度が高く、全国で希望の単発バイトを見つけられます。
働いた人のコメントや評価で職場の雰囲気が分かるのもいいところ。
空いた時間に希望の仕事をサッと見つけ出し、働いたその日のうちに収入を得られます。
失業保険が減額にならない単発の仕事を探すなら、ぜひ入れておくべきアプリです。
マッハバイト
マッハバイトは採用されるとお祝い金としてボーナス1万円がもらえるという、とてもお得なサイト・アプリです。
ボーナスは短期バイトも対象で、どの求人も最低でも5千円はもらえます。
短期バイトでお祝い金が出るサイトはなかなかありません。
バイト代以外に臨時収入が入るので、求人への応募はぜひここから行うといいでしょう。
シェアフル
シェアフルは1日単位のスキマ時間で働ける仕事を探すアプリです。
空いている日をカレンダー登録しておくと、あなたの近くで募集してる仕事が入ってきます。
超々短期で働ける仕事ばかりを取り扱ってるので、失業中のアルバイト探しにはピッタリです。
しかも履歴書不要・面接なしで応募でき、採用されたあとは当日に就業先へ行くだけという手軽さ。
すぐに仕事を見つけてサクッと働けるから、好きなときにちょっとだけ働いてお金を増やせるんです。
思い立ったときにすぐ働けるよう、ひとまずこのアプリも入れておきましょう。
プチジョブ
プチジョブは今すぐ働きたい人と企業を結ぶアルバイトマッチングサービスです。
1日2時間からOKのバイトを掲載しており、失業中の短期バイトに使えます。
しかもバイト代は翌日には振り込まれるので、すぐにお金が必要なときに便利です。
求人は東京近郊エリアのみに限られますが、東京エリアで働くのなら登録しておきましょう。
アルバイトで少しだけ豊かな生活を
失業期間中のアルバイトについて見てきましたが、失業保険の仕組みはざっくりとでも知っておいた方がいいでしょう。
失業保険(失業手当)については↓こちらの記事でまとめてあるので、参考にしてください。
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無職の間は社会とのつながりが希薄になり、ふさぎこみがちになります。
でも、アルバイトで社会と接点を持っていると、そんな気持ちも少し楽になります。
1日だけの単発バイトなら就職活動にも支障が出ないし、良い気分転換にもなるのではないでしょうか。
バイト代を使って、少しだけ自分にご褒美を与えてみてはいかがですか?
失業中は少しだけ働いて、少しだけ豊かな無職生活を目指しましょう。