転職して給料が上がるか下がるかは気になりますよね。
実は、転職後1年目は転職前より給料が下がることの方が多いんです。
リクルートワークス研究所が行う「全国就業実態パネル調査2020」によると、転職後1年目に給料が10%以上アップした人の割合は31.5%。
逆に給料が10%以上ダウンした人の割合は41.3%と、給料が下がった人が多いという結果になっています。
10%以上給料アップ | 10%以上給料ダウン | |
---|---|---|
転職1年目の雇用者全体 | 31.5% | 41.3% |
転職初年度は昇給やボーナスがなく残業も少ないので、転職前より年収が低くなりがちなんですね。
「転職したら余計に生活がキツくなった」というケースもあるんじゃないでしょうか。
実はそんなとき、収入を補う国の制度があります。
転職で給料が下がったとき、前職の給料との差額分を国からもらえる制度があるんです。
それが就業促進定着手当です。
あまり知られてませんが、対象になるのであればぜひ活用してみてください。
ここでは、就業促進定着手当の対象者・支給金額・申請方法などを解説します。
↓今回の内容は動画でも解説しています。
就業促進定着手当とは
就業促進定着手当とは、再就職後の賃金が離職前の賃金より低い場合に受け取れる手当です。
平成26年4月に再就職手当の内容が改正され、同時にこの就業促進定着手当が新設されました。
簡単に言うと、転職して給料が下がった場合に、転職前の給料との差額を6ヶ月間国が補てんしてくれる制度なんです。
就業促進定着手当の支給条件は以下のとおりです。
支給対象者
就業促進定着手当は以下の条件を全て満たしている人が対象です。
就業促進定着手当の支給対象者
- 再就職手当の支給を受けている
- 再就職の日から同じ企業に6ヶ月以上、雇用保険の被保険者として雇用されている
- 所定の算出方法による再就職後6ヶ月間の賃金の1日分の額が、離職前の賃金日額を下回る
上記のように、大前提として再就職手当を受給した人が対象になります。
再就職手当については↓こちらを参考にしてください。
関連記事再就職手当の金額・条件・申請方法まとめ 失業保険とどっちが得?
支給金額
就業促進定着手当の支給金額は、前の会社の賃金日額を元に計算されます。
賃金日額とは、6ヶ月間の給与の総額を180で割った額です。雇用保険受給資格者証の「離職時賃金日額」がそれに当たります。
就業促進定着手当の支給金額
(離職前の賃金日額 - 再就職後6ヶ月間の賃金の1日分の額)× 再就職後6ヶ月間の賃金の支払基礎となった日数
再就職後6ヶ月間の賃金の1日分の額は、以下の計算式で計算されます。
再就職後6ヶ月間の賃金1日分の額
【月給の場合】
再就職後6ヶ月間の賃金の合計額 ÷ 180
【日給・時給の場合】
次の(a)(b)のうち、どちらか金額の高い方
- (a) 再就職後6ヶ月間の賃金の合計額 ÷ 180
- (b)(再就職後6ヶ月間の賃金の合計額 ÷ 賃金支払いの基礎となった日数)× 70%
ただし、就業促進定着手当の支給額には上限額があります。
就業促進定着手当の上限額
基本手当日額 × 支給残日数 × 40%(再就職手当の給付率が70%の場合は、30%)
基本手当日額は失業保険の基準となる額で、雇用保険受給資格者証に記載されています。
支給残日数とは、失業保険の残り日数のことです。
つまり、どれだけ失業保険を残して就職したかが、上限の額に関係するわけですね。
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申請手続き
就業促進定着手当の支給対象者には、再就職手当の支給決定通知書と一緒に、支給申請書が郵送されます。
申請期間は、再就職した日から6ヶ月経過した日の翌日からの2ヶ月間です。
手続きの期間が短いので、忘れないようにしないといけませんね。
申請手続きには、以下の書類が必要になります。
就業促進定着手当の申請書類
- 就業促進定着手当支給申請書
- 雇用保険受給資格者証
- 就職日から6か月間の出勤簿の写し(事業主から原本証明を受けたもの)
- 就職日から6か月間の給与明細又は賃金台帳の写し(事業主から原本証明を受けたもの)
出勤簿の写しと賃金台帳の写しは、転職先企業の人事部から取り寄せないといけないので、ちょと面倒ですけどね。
就業促進定着手当の詳細は、ハローワークのサイトをご覧ください。
給料が下がっても満足できる転職とは
転職先の給料が、思ってたよりも低いとショックですよね。
でも、もし仮に給料が下がったとしたも、転職が失敗したわけではありません。
リクナビNEXTの「転職理由と退職理由の本音ランキングBest10」によると、「給料が低い」という理由で転職した人の割合は全体の12%。
それよりも、人間関係や労働環境を理由に辞めた人の方が多いことが分かります。
1位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)
2位:労働時間・環境が不満だった(14%)
3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)
4位:給与が低かった(12%)
5位:仕事内容が面白くなかった(9%)リクナビNEXTの転職理由と退職理由の本音ランキングBest10より
なので、給料が下がっても人間関係や労働環境が改善されれば転職は成功と言えるのです。
残業が減ってプライベートの時間を持てたり、責任のある仕事を任されたり、転職で給料以外の恩恵を得ることも多いです。
たとえば次のような職場なら、給料が下がっても満足できる可能性は高いはずです。
ポイント
- 残業が少なくワークライフバランスが優れている
- 人間関係が良好
- やりがいのある仕事にチャレンジできる
また、1年目は給料が低くても、2年目以降は昇給やボーナスで給料が増える企業も多いです。
最初に紹介した「全国就業実態パネル調査2020」によると、転職後2年目の正社員は給料が増えてる人の方が多いのが分かります。
10%以上給料アップ | 10%以上給料ダウン | |
---|---|---|
転職2年目の正社員 | 43.1% | 37.9% |
初年度の給料だけで判断するのではなく、長年働いている社員の声も見て判断するようにしましょう。
転職で給料が下がるか調べるには
転職後の給料に満足できるかは、長年働いている社員の声をチェックすることが大事です。
初年度の給料は大卒初任給並みでも、2年目以降は昇給やボーナスで跳ね上がる会社も多いからです。
逆に初年度の年収が高くても、基本給が少なくて残業しなければ給料が増えない会社には注意しないといけません。
とはいえ、求人票から分かるのは入社時の基本給だけです。
ボーナス・昇給額・残業手当は目安でしかないので、実態は入社してみないと分かりません。
そこで利用したいのが、社員が書き込んでいる口コミサイトです。口コミサイトを利用すれば、その会社の本当の給与実態が見れます。
なかでも転職会議は現役社員の給与実態が事細かく見れるので、登録しておくことをおすすめします。
転職会議に登録すると、約17万社の企業口コミが無料で見られます。
口コミを書いているのは現役社員や元社員で、求人票では分からない給与実態が見れます。
このように年齢別の給与や残業の実態が手に取るように分かるんです。
口コミを見れば、社員が給与に満足してるかどうかも分かります。
給与以外にも「有給休暇は取りやすいか?」「職場の人間関係はどうか?」といった生の声が見れるので、転職するかの参考になります。
このように、ブラック企業かホワイト企業かが一目で判断できます。
転職会議は、転職で給料が下がるか判断するときにとても役立ちます。
登録は無料なので、転職活動するならぜひ活用してください。
転職後に「こんに給料が下がるとは!」と後悔しないように、しっかり下調べしておきましょうね。