転職したものの「あれ?前の会社の方が良かったのでは?」と思ったことはありませんか?
意気込んで会社を辞めたけど、転職先の仕事や社風が合わず疲弊する日々。
「こんなことなら辞めなきゃよかった」「前の会社に戻りたい」と、後悔している人もいるかもしれません。
転職を後悔したときは、前の会社に戻ることも選択肢の1つです。
元の会社に戻るのは決して恥ずかしいことではありません。
人手不足の昨今、出戻り転職の経験者は非常に増えています。
今回は、転職に失敗して前の会社に戻ることになった38歳の男性、イワイさんの体験談を紹介します。
出戻り転職のやり方、メリット・デメリットなどもお話しますね。
体験談では心の葛藤も描かれてますので、転職先を辞めようか悩んでいる人はぜひ参考にしてください。
目次
出戻り転職体験談
こんにちは、イワイと申します。38歳の男性です。
私は現在、以前勤めていたメーカー会社に出戻りして働いています。
出戻りする前は卸売会社に8年勤めていたのですが、訳あって元の会社に再就職をしました。
イワイさんの経歴
新卒でメーカー会社に就職
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28歳で卸売会社に転職
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卸売会社の仕事になじめず、転職したことを後悔する
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8年勤めた後、36歳で元のメーカー会社に出戻り転職する
最初のメーカーは決して労働環境の悪い会社ではありませんでした。
ただ将来的な給与の不安が常にあったのと、転職先の会社に給与面で条件交渉できたことから、転職する決断をしました。
しかし新しい会社は雰囲気が全く肌に合わないうえに業務もかなりハード。
話の合う同僚もおらず、先輩たちは会社に対して不満を言ってばかりで、ただただ毎日が苦痛でした。
とはいえ今さら戻ることもできず、それなりにやっていくしか無いと自分に言い聞かせて8年勤めました。
ですが、「このままでは会社に使い潰されて人生を終えてしまう」「定年まで勤めても絶対に満足できる人生は送れない」と感じ、なんとか脱出しようと転職活動を始めました。
そして転職活動がうまくいかず悩んでいたタイミングで、幸運なことに前職のメーカーの上司から声をかけてもらい、出戻りする機会をいただきました。
ここでは、私が最初に転職してから元の会社に再就職するまでの体験談をお話していきます。
必要とされる感覚が心地よくて安易に転職
まず、メーカーから卸売会社へ転職するきっかけは、メーカーに勤める数年前のことでした。
実は短期のアルバイトとして、その卸売会社で働いてたことがあったのです。
アルバイトで勤めていた時に勤務態度や仕事ぶりが評価されて、「正社員として迎えたい」と言われていました。
しかし他にやりたいことがあったため、そのときは断ってメーカーに就職することにしました。
数年後、メーカーに勤めていた時に卸売会社の人から改めて声をかけてもらいました。
誘いを受けた時は正直、メーカーで大きな不満は無いし、転職してまた一から仕事を覚えるのもしんどいなと思い断っていました。
ですが年齢もちょうど20代終わりの頃で、よくよく考えてみると一族経営の会社で給与も手取りで20万に届いておらず、この先続けていっても大丈夫なのかと将来を不安に感じるようになってきました。
そこでメーカーを退職した先輩に相談したり、その卸売会社について調べてみたりした結果、転職しても良さそうだなと判断しました。
それに自分が必要とされている感覚が心地良くて、それが大きな決め手にもなりました。
今になって思えばこのメーカーを退職する際、トラブルなく円満にできたのは、出戻りするにはありがたかったです。
転職を決めた理由
- 給与が低く将来に不安があった
- 転職先から必要とされてる感覚が心地よかった
入社してすぐに後悔、再び転職活動を始める
卸売会社に就職しましたが、入社してすぐ後悔することになりました。
転職した会社は体力的・精神的にはもちろん、実際の労働時間や給与・休日数など、あらゆる面でメーカーより厳しい労働環境でした。
確かに給与は上がりましたが、残業と休日出勤が多く時給換算では対して変わりませんでした。
特にコロナ禍のさなかに社長が交代してからはその傾向が一層強まり、従業員みんなが不満を溜め込んでいる状態で、社内の雰囲気はどんどん悪くなっていきました。
そのあたりから若い世代の退職者も続けて出始め、自分も辞めることを強く意識するようになりました。
そして、「転職せずメーカーにいたままだったらもっと違う結果だったかもしれない」と思うようになり、その想いは日に日に強くなりました。
しかし、いつか辞めてやると思いながらも毎日の残業で疲れきっており、「自分が辞めれば上司や同僚に迷惑がかかってしまう…」という罪悪感からなかなか動き出せずにいました。
今でこそ冷静に考えられますが、この時の自分はかなり会社に洗脳されていたように思います。
「仕事が終わらないのは自分の力不足のせいだ」
「売り上げが伸びないのも自分の営業力が低いせいだ」
「他の人も辛いのに自分だけ逃げるのは卑怯だ」
など、働きにくいのは個人の能力不足という風潮が強く、自分もその風潮にすっかり染まっていました。
人間、余裕が無いとまともな思考すらできなくなってしまうんだなと、振り返って実感しました。
しばらくは転職活動もなかなか進まず、袋小路に入ったような感覚で辛かったです。
転職を後悔した理由
- 個人を責める会社の雰囲気が合わなかった
- 残業時間が多く労働環境が悪かった
- 時給換算すると給与もさほど変わらなかった
元上司の誘いで出戻りを決める
転職してから8年、精神的に疲弊する日々でした。
そんなときに前職のメーカーで上司だった人から「戻ってくる気はないか?」と連絡がありました。
正直「なんてタイミングだ!」と驚きました。
と同時に、最初に誘われて転職したけど、今回もまた誘われる形になるなと思って少し複雑な気持ちではありました。
話を聞くと、前の会社は以前よりも売り上げが伸びており、給与や福利厚生も在籍していた当時より良くなっているとのこと。
メーカーで働いていた時の方が明らかに労働環境は良かったうえに、戻れるなら戻りたいなと思っていたところです。
さらに給料的にも良くなるなら、行かない選択肢はありません!
ていうか、今の状況から逃げられるならどこでもいいとさえ思っていたので、まさに願ったり叶ったりと感じて出戻りを決意しました。
この会社では定年後の再雇用はあっても出戻りした人は事例がなかったようですが、私の場合はわりと歓迎ムードで迎えてもらえました。
メーカーを退職してからも度々顔を出しに行くくらいの関係を保っていたので、当時と顔ぶれは多少変わってはいましたが、あまり気負わずに出戻りすることができました。
そして、給与も以前いた時よりも上がっていました。
卸売会社では毎日残業で土日出勤も多く、趣味や自己投資に割ける時間がわずかでした。
今は残業もほとんど無いうえ、体力的にも余裕があるため、家に帰ってからの時間を有効に使えます。
ちなみに今回出戻りして入ったのは製造部の方でした。
以前退職したときは製造部から営業部に異動した直後で、これまでの経験から向いているのは製造の方だと思っていたので、この点でも良かったです。
部署は変わりましたが、現状全く不満を感じる要素が無い状態で働けるようになりました。
出戻り転職をした経緯
- たまたま元上司からの誘いがあった
- 給与や労働環境などが改善していた
- 部署は変更になったが、結果的には向いている仕事だった
出戻りしたい人へのアドバイス
思い切って転職してみたものの、「実際に入ってみたら前の会社の方が良かった…」と後悔したり、戻りたいと考えている人もいるかもしれません。
そういった方へ実際に出戻りした私ができるアドバイスは、元の会社で次の点を押さえておくことです。
出戻りするために大事なこと
- 即戦力として認めてもらっている
- 円満な退社をしておく
- キーマンとなる人との繋がりを持っておく
- 信頼できる同僚や上司がいる
- 会社の良い点と悪い点を把握している
- 以前と同じ待遇、役職を求めない
- 以前と違う状況になっても受け入れる
- 歓迎しない人もいることを覚悟する
これらのポイントを押さえてあれば、出戻りできるハードルはかなり低くなるかと思います。
もちろんこの条件をクリアしないと絶対ダメというわけではありませんが、私の場合はこれらがあったおかけで容易に出戻りできたと思います。
人手不足が叫ばれる昨今、働いていた経験があり即戦力になるというのは、他の応募者に比べて圧倒的なメリットとなります。
そもそもの話ですが、私自身も当時、出戻りしたメーカーに対して特に不満などは感じていませんでした。
ですが、今まで自分に自信が持てず社会に馴染むのが難しいと感じながら生きてきたので、スカウトされて必要とされることで完全に浮かれていました。
そのため冷静な判断ができなくなっていたんだと思います。
その結果、不毛な8年を過ごす羽目になり、「あの時もっと慎重に考えていれば…」と何度も悔やみました。
しかしその不毛な時期を経験したから、今の会社のありがたみが身に染みて分かります。
そのまま転職せずメーカーで働き続けていたら、ありがたみを感じることもなく、不満を募らせて過ごしていたかもしれません。
いったん外に出たからこそ、良い点・悪い点がはっきりと分かるようになったのは事実です。
最初にメーカーを退職した時点では、なんとなくでしか判断できていませんでした。
そういった点が測れるようになったのは、一つの発見になったかなと思います。
出戻りした現在は、結果的に戻って本当に良かったです。
不満に思っていたことがほとんど全て解消されて満足しています。
できるならここで定年まで働いていこうと思っています。
出戻り転職のメリット・デメリット
イワイさんの体験談、いかがだったでしょうか。
出戻り転職をするまでの心の変遷がよく分かったのではないでしょうか。
出戻り転職は非常にメリットが多いです。
一度勤めてた会社なら独自のルールや習慣も分かってますし、雇う側も即戦力として使いやすいです。
それに他社で働いた経験があるからこそ、今の会社の良さも客観的に理解できるのではないでしょうか。
出戻り転職は企業側にとっても就職者にとってもメリットがあるのです。
出戻り転職のメリット
- 即戦力になる
- 会社独自のルールや習慣を分かっている
- 会社の良さを客観的に理解できる
ただし、出戻り転職にはデメリットもあります。
戻ってきても部署や待遇が同じになるとは限りません。
イワイさんの場合は会社の環境が改善してたから良かったですが、逆に辞めたときよりも状況が悪化してることもあります。
そんなときでも「辞める」とは言いにくいのも、出戻りのデメリットです。
出戻り転職のデメリット
- 部署や待遇が同じとは限らない
- 辞めたときより環境が悪化していることもある
- 再び「辞める」とは言い出しにくい
それに、すべての人が出戻りで歓迎されるとは限りません。
在籍時に何らかのトラブルがあった人や、真面目に仕事をしなかった人、周りからの人望が薄かった人は応募しても受かりにくいでしょう。
出戻り転職を成功させるには、会社から「戻ってきてほしい」と思われる人材であることが必要です。
最低でも退職時に円満退社であることは不可欠な条件になります。
決して「こんな会社辞めてやる!」とタンカを切って辞めるようなことは避けないといけませんね。
出戻り転職のやり方
出戻り転職したいときは以前つながりのあった人、同僚や元上司と連絡を取ってみるのが一つの方法です。
出戻り転職は「リファラル採用」といって、コネやツテで紹介してもらうケースが非常に多いです。
では、同僚や元上司など仲の良い人がいなかったときはどうすればいいか。
通常の転職と同様に、転職サイトやハローワークを通じて求人に応募する方法が考えられます。
もし転職サイトやハローワークに求人がなかったとしても、直接電話して問い合わせてみる手もあります。
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また、転職を考えているならまず転職エージェントに相談してみるのもいいでしょう。
転職エージェントなら悩み相談に乗ってもらえるだけでなく、他にも幅広い求人を紹介してもらえます。
もしかすると前の会社よりも好条件の会社が見つかるかもしれません。
出戻り転職するのがいいのか、客観的なアドバイスももらえますので、まずは登録して利用してみるのがいいでしょう。
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出戻り転職は恥ずかしいことではない
終身雇用が崩壊して転職が当たり前になり、出戻り転職が注目を浴びるようになってきました。
企業によっては「アルムナイ採用」といって経験者枠を設けてるところもあります。
「出戻りなんてダサい」「カッコ悪い」と言われたのは昔のこと。
人手不足の現在では、企業も「出戻り」を受け入れる気運が高まっているのです。
今の会社への転職が「失敗だった…」と感じているなら、前の会社に戻ることも考えてみてはいかがでしょう。
一度きりの人生、後悔しながら過ごすのはもったいないですよ。
転職は失敗してもやり直せるので、「出戻り」という選択肢も考慮してみてくださいね。
この記事を書いた人:イワイ