夫が失業してしまったとき、妻の頭に真っ先によぎるのはお金の問題でしょう。
これからの生活費を考えていくのも大事ですが、あなたが専業主婦なら年金の問題も忘れてはいけません。
夫が退職したら妻の年金種別が変わり、国民年金の保険料支払い義務が発生します。
夫の年金種別が2号から1号に変わることによって、妻の年金種別が3号から1号に変わるためです。
夫が会社員だった頃にはなかった支出が発生するので、家計には痛手になるでしょう。
また、妻の年金種別を変更する手続きを忘れてしまうと、保険料の未納期間が発生して年金をもらえなくなる可能性も出てきます。
なので専業主婦(または専業主夫)は切り替え手続きを忘れないよう要注意!
ここでは夫が無職になると妻の年金はどうなるのかを解説し、妻がすべき手続きについてお話します。
夫が退職すると妻の年金はどう変わる?
公的年金制度は加入者の状態によって3つの種別に分かれています。
被保険者区分 | 年金の種類 | 対象者 |
---|---|---|
第1号被保険者 | 国民年金 | 自営業・学生・フリーター・無職 |
第2号被保険者 | 国民年金+厚生年金 | 会社員・公務員 |
第3号被保険者 | 国民年金 | 第2号被保険者に扶養されている配偶者(専業主婦・専業主夫) |
この中で専業主婦(専業主夫)は第3号被保険者に該当します。
第3号被保険者とは、第2号被保険者(会社員・公務員)に扶養されている配偶者のことです。
ところが夫は会社を辞めると第2号被保険者から第1号被保険者に変わります。
すると配偶者である妻も第3号被保険者から外れて、第1号被保険者に変わることになります。
第3号被保険者は保険料の支払いが免除されていますが、第1号になると保険料の支払い義務が発生します。
つまり夫が失業・解雇などで会社を辞めたり定年退職になると、妻の年金種別が変わって保険料が発生するのです。
ちなみに令和2年度の国民年金保険料は月16,540円です。
夫と妻の2人分の保険料を払うわけですから、毎月33,080円(16,540円×2)を払わないといけません。
収入がなくなったのに出費が増えるわけですから、かなりキツイですよね…。
妻の年金が払えないときにすべきこと
夫の収入が途絶えた上に妻の年金の負担が増えるとなると、家計は一気にピンチですよね。
もし保険料が払えないのなら、国民年金の免除制度を利用するのと妻の扶養に入るという選択肢があります。
国民年金の免除制度を利用する
国民年金には保険料が払えないときの免除制度があります。
免除を申請すれば、保険料を支払わない期間も受給資格期間に組み入れることができます。
将来もらえる年金額は減りますが、後から追納すれば給付額は元に戻せます。
また、失業を理由に免除するときは本人の収入要件が問われないので、専業主婦(専業主夫)の配偶者は「収入ゼロ」ということで全額免除が可能です。
国民年金の免除制度については↓こちらの記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。
関連記事失業で国民年金が払えない時の免除制度 メリットと手続き方法
妻の扶養に入る
夫が無職の間は、妻がパートなり働きに出て家計を支える家庭もあるでしょう。
そんなときは妻が社会保険に加入し、夫を扶養に入れることも可能です。
パート労働者が厚生年金に加入するには週30時間以上の労働が必要ですが(大企業や労使が合意した事業所では週20時間労働+月収8.8万円以上)、扶養に入れたら夫の保険料は免除になります。
扶養に入る条件に性別は関係ありませんので、いざというときは夫が妻の扶養に入ることも検討してみてください。
第3号被保険者の切り替え手続きが必要なケース
第3号被保険者から外れるときは、市町村へ届け出をしないといけません。
もし届け出をせず第3号被保険者のままでいると、未納期間が発生したり将来年金がもらえなくなる可能性が出てきます。
第3号被保険者が切り替えを忘れて生じる問題を「第3号被保険者の不整合記録問題」と言います。
たとえば次のようなケースではその都度切り替え手続きが必要になります。
「夫が無職になり、その後再就職したケース」では、夫の退職と再就職に合わせて切り替えの手続きが必要です。
「妻が働きに出て、その後専業主婦に戻るケース」では、妻の就職と退職のタイミングで手続きが必要です。
どちらも忘れがちになるので注意しましょう。
会社を辞めるときはこういった年金や社会保険の手続きが多く発生します。
退職したときの社会保険や税金の手続きについては↓こちらでまとめてあるので、参考にしてください。
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年金の手続きは忘れずしておきましょうね。