僕には数年間勤めていた会社を辞めて無職になった時期があります。
無職とはいえ完全にふさぎ込んでわけではなく、単純に時間を持て余すような生活をしていました。
当時20代の僕はゲームばかりしていましたが、ゲーム三昧が楽しいのは最初の1ヶ月くらいで、そのうち物足りなくなってパチンコ屋に入り浸るようになりました。
今思うと次の仕事も探さずにパチンコを打ったのが間違いでした。
この後周りの人に大きな迷惑をかけ、まともな生活を取り戻すために長い時間を要することになるのです。
ここでは当時を超絶に後悔している僕が、無職なのにパチンコにハマってしまった当時を振り返ります。
今パチンコ生活にどっぷりハマってる人は、パチンコ依存から抜け出すきっかけとして読んでいただければ幸いです。
目次
無職なのにパチンコを打ってしまう心理
一般の人からすると、無職なのにパチンコ屋へ行く心理は理解できないかもしれません。
たとえば無職の旦那が毎日パチンコに行っていたら、奥さんは理解不能でしょう。
まずは、無職なのにパチンコにハマってしまったきっかけと、打っているときの心境をお話しようと思います。
ハマるきっかけ
今までパチンコを打ったことがない人が無職になっても、そこからパチンコにハマることは少ないでしょう。
僕もそうでしたが、普段から打つ人や趣味程度に打っていた人が一番危ないです。
そういう人は「本当にお金がないとき」ではなく「少し余裕のあるとき」が泥沼の入り口になります。
そう、退職直後です。
どんな人でも仕事をしているときはプレッシャーやストレスが避けられません。
そして仕事を辞めたとき、これらが一気に解消されますよね。
「もう嫌いな上司の機嫌を伺う必要はない」
「面倒な報告書も作らなくていい」
「お客さんに怒鳴られることもない」
なんにも、全く、いっさい気を遣わなくていいのです。
この開放感に加えて退職金もあります。ボーナスをもらって辞めた人なら、退職金&ボーナスで金銭的な余裕もあるでしょう。
退職直後の余裕のある時期こそが、泥沼の入口になるのです。
当時の僕には「無職なのにパチンコなんてなぁ…」という罪悪感はありませんでした。
むしろ「これまで仕事を頑張ったんだから、これは自分へのご褒美だ」というポジティブな心境で打っていました。
つまり世間の人は「お金がないのにパチンコを打つなんておかしい」と考えますが、そうではありません。
「余裕のあるときに始めたパチンコがやめられなくなり、段々とお金がなくなっていった」というのが実態です。
まったく、世の中の人は分かっていませんよね……。
負けても打ち続ける心境
心にもお金にも余裕のある退職直後の僕は、「平日の昼間からパチンコが打てる♪」とウキウキした気分でした。
しかし無職の期間が長くなり、お金がなくなっていくにつれて気分が沈んでいきました。
現実的な問題が頭に浮かびだします。
「いつまでも無職というのはカッコ悪いな…」
「このままだとお金がなくなって生活できなくなる…」
こんな僕でもバカではないので、これくらいの「見込み」「予測」「世間体」は分かっていました。
ただ、これらを冷静に捉えて対処することはできなかったのです。
負けた日には「なんでパチンコなんか打ちに来たんだろう」「今日の負け分で家賃が払えたのにっ!」と後悔と自己嫌悪が嵐のように頭の中を駆けめぐります。
そして「もうパチンコは打たないっ!」と決意するのですが、次の朝には「今日は絶対に負けないっ!」という意味不明のやる気に満ちた心境に変わっています。
これがパチンコの怖いところで、頭で理解していることや未来を心配する気持ちをリセットしてしまうんです。
そしてお金や仕事といった現実の問題を見えなくして先送りにさせる力があります。
楽しくないけど打ってしまう
パチンコにハマっている人なら分かると思いますが、パチンコは打ちたくて打っている人ばかりではありません。
僕の場合は、無職になってあり余る時間ができ、ゲームだけでは埋まらない時間をパチンコで補っていただけです。
無職生活最大の問題は「孤独である」ことと「時間がある」ことです。なので、
- 1人でできる
- 長い時間を潰せる
という2つの条件が満たされる遊びが必要です。
これがゲームやパチンコです。
ゲームは完全に架空の世界ですが、パチンコはリアルにお金が動く現実の世界です。
長いスパンで考えるとトータルでは負けるのですが、たまに勝つことがあります。
これがやっかいで、儲かったその日に思うのは「これが続けばしばらく働かなくてもいい」という現実問題先延ばしの思考です。
ゲームもハマりすぎは問題ですが、パチンコの場合たまにお金が手に入るので、稼ぐ手段として変にリアリティがあるのです。
2、3日続けて勝ってしまうと、「パチプロでもいけるんじゃね?」という壮大な勘違いをしてしまったりもします(僕のことです)。
関連記事【無職の生き方】働かないで生きるのは可能か真剣に考えてみた
やがてどんなに負けていようと「勝てば問題ない」と考えるようになります。
パチンコで勝つことが日々の望みとなり、人生の目標になってしまうんです。
パチンコ依存からの抜け出し方
では僕がどうやってパチンコ生活から抜け出せたのか、パチンコ依存からの抜け出し方についてお話します。
お金が尽きるまでは止まらない
僕の場合は完全にお金がなくなるまでパチンコ生活が続きました。
家賃は3ヶ月滞納して、全財産が32円になるまでです。
その日の朝起きてお腹が減り、食料を買えないことを体感してはじめて「どうしよう……」と本気で悩みました。
そうです。
全財産が32円になるまでパチンコを打っていたのです。
今考えるとおそろしく愚かな人間ですが、まぎれもなく僕のしていたことです。
普通に考えたら、先を見越して行動すればこんな事態にはなりません。
1ヶ月前にアルバイトを始めていれば……いや、せめて数日前に日雇いのアルバイトにでも行っていれば避けられたはずです。
でも、それができないのがパチンコです。
もちろんその人の性格や環境にもよりますが、何か強制的な力がなければパチンコはやめられないという良い例です。
パチンコにハマっていない人が言うような、「普通に考えれば」とか「このまま行けば当然こうなる」といった常識は通用しません。
だって、いまだにその時の僕がギリギリまでパチンコを続けた理由を論理的には説明できないんですから。
世間では論理的な説明や損得勘定でこの問題の理由を探ろうとしますが、全く意味はありません。
強いていうなら「パチンコができるお金と時間があるから」行くのです。
借金は絶対に作らない
では、どうやって僕がパチンコ生活から抜け出したのでしょうか。
僕の場合はお金が完全につきて食べるものがなくなってしまったので、最終的には母親に泣きつきました。
20代半ばにもなって恥ずかしい限りですが、身寄りがなかったらそのまま餓死していたかもしれません(冗談ではなく本気でそう思います)。
ただ、この時の僕を褒めてあげたいのは借金をしなかったことです。
消費者金融もそうですが、友人にもお金を借りることはありませんでした。
「消費者金融=ヤ○ザ」と思い込んでいて、怖いのはイヤだなと思っていたのと、頼る友人がいなかっただけですが、
お金を借りる選択をしなかった(できなかった?)のは、問題が深刻にならなかった理由として大きかったと思います。
借りていれば数百万円の返済などがあったはずで、両親への迷惑はもっと大きかったでしょう。
なのでまだ借金はしていないという人は、絶対にその一線は越えないようにしましょうね。
関連記事無職は自己破産できるのか?費用・流れ・手続きのしかた
まとめ:1人ではパチンコはやめられない
この経験から僕が思うのは、「パチンコは1人では抜け出せない」ということです。
「いやいや、それは大げさだよ」「さすがに生活できなくなるまでは行かないでしょ」と世間の人は言うと思います。
でも、そうでしょうか?
今でも僕は思い出します。
- 8円しか残っていないのが分かってるのに、銀行口座のお金を何度も確認したこと
- 20円程度しか入っていない薄っぺらで軽い財布の感触
- お腹が減って自宅アパートの小麦粉を水で溶かして食べようとしたこと
- お金が尽きた日に平静を装って実家の母に電話したこと
パチンコにハマってやめられない人は、似たような経験をしていませんか?
負けてみじめな思いをしても、次の日には忘れて興奮気味にパチンコ屋へ足を運んでいませんか?
そういう人は「もうパチンコはやめる」と思ったときに、誰かに話を聞いてもらいましょう。
自己嫌悪から自分を責めても、パチンコ屋にうらみごとを言っても、1人で頭の中で考えるだけでは解決しません。
きっと、必ず、絶対、お金と時間がある限りまた行きます。
無職には時間があるから条件はそろっています。あとはお金です。
すでに借金をしていれば限界まで行きますよ。
もう誰もお金を貸してくれない、手持ちのお金が全くないという状態になってようやくやめれても遅いのです。
何度でも言います。
「あなた1人では、絶対にやめられません」
誰かに早く話してしまいましょう。
話すのが恥ずかしいですか?
だったら、自己嫌悪と後悔が支配している「パチンコで負けたとき」だったら言えませんか?
どうせお金がなくなるまでやめられないんですから、早めに誰かに止めてもらった方があなたのためだと思います。
この記事を書いた人:Shijima