退職して会社の健康保険から国民健康保険に切り替える人は多いでしょう。
しかし健康保険から国民健康保険に切り替わると、会社が半分負担してくれていた保険料を全額自分で払わないといけません。
保険料は前年の所得を元に計算されるので、会社を辞めたら単純に保険料を2倍払わないといけないのです。
「収入のない無職なのに、そんな高い保険料は払えない!」という人も多いはず。
失業中の国民健康保険は各自治体の減免制度を利用しましょう。
失業で保険料が払えない人のために、多くの自治体には国民健康保険の減免制度があります。
ちなみに僕が無職になったときの保険料は月約35,000円だったのですが、減免を受けることによって月約15,000円に減額することができました。
ここでは国民健康保険の減免制度について、制度内容・申請方法・デメリットなどを解説します。
↓今回の内容は動画でも解説しています。
目次
国民健康保険の減免・減額制度の内容
国民健康保険は多くの自治体に減免・減額・免除といった保険料の軽減制度があります。
退職して収入見込みがない人や、病気・災害で働けない人に対しての減免措置、所得が低い世帯に対しての減額措置などがあります。
減免制度は各自治体によって異なり、制度がある自治体もあればない自治体もあります。
詳しい内容は各市区町村のホームページか、役所窓口で尋ねてみてください。
東京都・横浜市・大阪市・名古屋市・札幌市・福岡市・神戸市の減免制度は記事の中でも解説しています。
ここでは自治体で採用されている減免措置の一例として、失業したときに使える減免・減額制度を紹介します。
失業で使える減免制度
各自治体で失業者に対して実施している減免制度には、次のようなものがあります。
これらは基本的に申請しないと受けることができません。健康保険から国民健康保険に切り替えるときに、忘れず申請するようにしましょう。
会社都合退職
倒産・解雇など非自発的に退職された方に対して減免制度を実施している自治体は多いです。
具体的には会社都合で退職された方、つまり「特定受給資格者」(雇用保険受給資格者証の離職理由コード11・12・21・22・31・32)または「特定理由離職者」(雇用保険受給資格者証の離職理由コード23・33・34)が対象者です。
軽減内容は、前年の給与所得を100分の30として計算する自治体が多いです。
これにより、国民健康保険の保険料は約3分の1に減らすことができます。
関連記事特定受給資格者・特定理由離職者とは?自己都合を会社都合退職にする方法
所得の激減
今年の所得が前年の所得より大幅に減る場合、保険料を減免してくれる自治体もあります。
今年の所得は見込み額で構いません。失業中は収入の見込みがない状態なので、現在から今年の12月末までの収入見込みを0円として申請することができます。
ただし、就職して収入が増えた場合は減額した保険料の返還義務が発生します。
この減免は自己都合退職でも受けられます。対象になる所得水準と減免される金額は、自治体によってまちまちです。
低所得による減額措置(法定軽減)
国民健康保険には自治体が独自で設けた減免制度以外に、国が定められた減額措置があります。それが低所得者に対する法定軽減です。
法定軽減の対象者になれば自動的に保険料が減額されます。
世帯の合計所得が下記の基準額を下回る世帯は、保険料のうち平等割・均等割が軽減されます。
法定軽減の減額基準となる所得額(平成30年度) | 減額割合 |
---|---|
33万円 | 7割 |
33万円 + 27万5千円 × 被保険者数 | 5割 |
33万円 + 50万円 × 被保険者数 | 2割 |
参考:国民健康保険・後期高齢者医療における保険料(税)軽減について | 厚生労働省
たとえば世帯人数が3人の場合、合計所得が基準額以下になると7割・5割・2割の減免となります。
- 合計所得330,000円以下・・・7割減免
- 合計所得1,155,000円以下(33万円+27万5千円×3人)・・・5割減免
- 合計所得1,830,000円以下(33万円+50万円×3人)・・・2割減免
法定軽減による減額措置は、何も申請しなくても適用されます。
しかし法定軽減は前年の所得を元に計算されるので、役所が前年の所得を把握できていないと判定できません。
なので、無職や無収入の人でも確定申告はやっておくようにしましょう。
主要自治体の減免制度一覧
主な自治体における国民健康保険の減免制度を紹介します。失業者のうち減免の対象者を一覧にしました。
なお、減免制度は改定になる場合があるので、詳しくは各市区町村のホームページをご確認ください。
市区町村 | 減免の対象となる失業者 |
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東京都杉並区 |
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横浜市 |
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大阪市 |
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名古屋市 |
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札幌市 |
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福岡市 |
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神戸市 |
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減免申請のしかた
国民健康保険の減免申請は、各市区町村役場で行います。保険課や保険年金課が窓口になります。
減免される期間
国民健康保険が減免される期間は、申請した月から翌年度末(3月)までです。失業による減免は、離職日の翌日の月から翌年度末(3月)までになります。
減免の申請は年度ごとに必要なので、年度が変われば新たに申請する必要があります。
手続き方法
国民健康保険の減免手続きには、以下のいずれかの書類と印鑑が必要になります。
必要書類は減免内容や自治体によって違うので、各地区町村窓口で確認してください。
減免申請の必要書類
- 雇用保険受給資格者証
- 離職票
- 退職証明書
- 廃業証明書
上記のうちいずれか
このうち離職票はハローワークへ手続きに行くと提出することになります。
なので、離職票が必要な場合はハローワークへ行く前に減免手続きを済ますようにしましょう。
また、住民税が減免できる自治体もあるので、国民健康保険の減免を申請したついでに税金課の窓口へ行くのも忘れないようにしましょう。
関連記事失業で住民税は減免できる!無職が知っておきたい住民税の知識
減免のデメリット
国民健康保険を減免することによるデメリットはありません。減免しても通常と同じように3割負担で医療を受けることができます。
しかし、国民健康保険を選ぶこと自体にデメリットのある人はいます。
退職後の健康保険には「会社の健康保険を任意継続する」と「家族の扶養に入る」という選択肢があるので、これらを選んだ方が得する人がいるからです。
たとえば次のような人は国民健康保険よりも任意継続した方が、保険料が安く済むことが多いです。
任意継続の方が得する人
- 扶養家族の多い人
- 収入が高い人
一般的に扶養家族の多い人や、退職前の収入が高い人は、国民健康保険よりも任意継続を選んだ方が保険料が安くなります。
国民健康保険と任意継続のどっちが得かは、下記の記事で解説しているので参考にしてください。
関連記事任意継続と国民健康保険どっちが得か?退職後の健康保険の選び方
また、夫や親など扶養してもらえる家族がいるのなら、家族の扶養に入るのがベストです。
夫や親の扶養に入れば保険料は全額免除になるので、保険料を払えないなら扶養に入ることも選択肢に入れましょう。
国民健康保険は申請すれば大幅に減免することができます。逆に言うと、何もしなければ高額な保険料を取られてしまうのです。
退職後は自分から積極的に情報を得るようにしましょう。減免制度を活かしてしっかり節約しましょうね。