失業保険の受給期間中に再就職すると再就職手当がもらえます。
再就職手当は「1年以上安定的に雇用されるのが確実であること」が条件なので、主に正社員として再就職したときに支給されます。
関連記事再就職手当の金額・条件・申請方法まとめ 失業保険とどっちが得?
では、アルバイトやパートとして就業した場合はどうなるのか?
この場合は就業手当という再就職手当に似た手当が支給されます。
「ほほう。アルバイトでも手当が支給されるのか。それなら申請した方が得だな」と思った方。
ちょっと待ってください!
就業手当は申請すると損だと感じるケースが多いです。
内容を知ると多くの方が「就業手当をもらうぐらいなら、失業保険をもらった方が得だ」と感じるのではないでしょうか。
そんなちょっとクセのある就業手当について、詳しく見ていきますね。条件や計算方法、再就職手当との違いについても解説します。
↓今回の内容は動画でも解説しています。
目次
就業手当とは
就業手当とは、失業保険の受給期間中に、アルバイトやパートなど1年を超える見込みのない職業に就いたときにもらえる手当です。
具体的には以下の基準の職業が該当します。
就業手当の支給基準
- 契約期間が7日以上
- 労働時間が週20時間以上
- 1週間に4日以上働く
再就職手当のアルバイト版のようなものと言えば分かりやすいでしょう。
再就職手当の支給対象とならない仕事に就いた場合に申請するケースが多いです。
就業手当の条件や金額について見ていきます。
対象・支給条件
就業手当の支給要件は以下の通りです。これらすべての条件を満たした就業が対象になります。
就業手当の支給条件
- 就業日の前日の時点で、失業保険の支給日数が3分の1以上かつ45日以上残っていること
- 再就職手当の支給対象とならない職業であること
- 待機期間が満了していること
- 自己都合退職など離職理由による給付制限を受けた場合は、待機満了後から1ヶ月間はハローワークまたは職業紹介事業者からの紹介で就業した場合に限る
- 離職前の会社、または離職前の会社と密接な関係の会社に再び雇用されたものではないこと
- 受給資格決定前に採用が内定していたものではないこと
要件はだいたい再就職手当と同じですが、失業手当の支給残日数が45日以上必要という部分では、再就職手当よりも対象期間が短いと言えます。
また、再就職手当と就業手当の両方をもらうことはできません。再就職手当の対象者は再就職手当の方が優先されます。
金額・計算方法
就業手当の計算式は以下の通りです。失業保険の基本手当日額の30%がもらえます。
失業保険の基本手当日額 × 30%
さらに、就業手当には支給の上限額があります。1日あたりの支給額は1,858円(60歳以上65歳未満は1,503円)までと決まっています(令和2年8月1日現在)。
この上限額は毎年8月1日に変更されることがあります。
手続き方法
就業手当の手続きは失業認定日にハローワークで行います。必要書類は以下の通りです。
就業手当の必要書類
- 就業手当支給申請書
- 雇用保険受給資格者証
- 就業した事実を証明する書類
就業手当支給申請書はハローワークインターネットサービスからもダウンロードできます。
就業手当を申請すると損する理由
就業手当の支給金額は失業保険の基本手当日額の30%です。
「ん?30%って安くね?」と思った方。はい、正解です(笑)。
就業手当は安いんですよ! 再就職手当が最大60~70%もらえるのに対して、就業手当は30%と違いが大きいです。
ポイント
- 再就職手当・・・基本手当日額の60%もしくは70%
- 就業手当・・・基本手当日額の30%
たとえば基本手当日額が5,000円の人なら、1日就業するごとにもらえる就業手当はたった1,500円です。
働いて1,500円の就業手当をもらうなら、働かずに5,000円の失業保険をもらった方が得だと思いませんか?
さらに就業手当は上限額が決まっています。令和2年8月1日時点の上限額は、1日あたり1,858円(60歳以上65歳未満は1,503円)です。
つまり、どんなに基本手当日額が高い人でも1日1,858円までしかもらえないということ。
しかも勤務先はアルバイトなので、高い給料がもらえるわけではありません。働いた分だけ失業保険がもらえなくなるので、損した気分になる人の方が多いと思います。
就業手当と失業保険の金額の実例
具体的に就業手当と失業保険の金額を計算して、どれだけ損かを見てみましょう。
基本手当日額が5,000円の人が、週5日×6時間で時給850円のアルバイトに就いたとします。
この人が一週間働いてもらえる収入と、就業手当の金額を計算してみました。
【就業手当】1,500円×7日=10,500円
【アルバイト給料】850円×6時間×5日=25,500円
合計収入:36,000円
そして働かずに失業保険だけをもらったケースがこちらです。
【失業保険】5,000円×7日=35,000円
合計収入:35,000円
なんと、たった1,000円しか変わりません!
これを見たら「働いたら損だ!おとなしく失業保険だけもらってた方が得だ」と考えるのは当然ではないでしょうか。
失業中に一番得するアルバイトのしかた
就業手当は損をするのが分かったかと思いますが、就業手当は申請しなくても問題ありません。
対象となる仕事をしたときは、失業認定日にハローワークへ申告すれば済む話です。
申告をすれば1日4時間未満の労働は失業保険が減額になり、1日4時間以上の労働は失業保険が先送りになります。
ポイント
- 1日4時間未満の労働・・・失業保険は減額
- 1日4時間以上の労働・・・失業保険は先送り
失業保険の支給が先送りになっても、受給期間終了後には全額もらえるので損はしません。
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また、長期間のアルバイトをすると「就職したもの」とみなされ、失業保険の支給がストップします。
「1週間の労働時間が20時間」「雇用期間が31日」を超えると失業保険は支給停止になるので、就職にならない範囲で失業保険が先送りになるぐらいは働くのが、一番得する働き方になります。
具体的には、1日か数日の短期バイトにとどめておくのがベストでしょう。
就職にならない範囲の短期バイトなら、働いた日の失業保険は先送りになるだけで、もらえなくなるわけではありません。
失業保険受給中のアルバイトについては、↓こちらの記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
失業中の短期バイトの見つけ方
失業保険受給中は長期バイトをすると就職したことになるので、アルバイトをするなら短期バイトで働きましょう。
1日4時間以上で週20時間未満のアルバイトなら、失業保険は支給停止や減額にならず、全額先送りになるだけで済みます。
ただし、短期バイトは募集がかかると速攻で埋まることが多いです。
なので、アルバイトの求人サイト・アプリにあらかじめ登録しておいて、いつでもすぐ応募できる状態にしておいた方がいいでしょう。
スキマバイトアプリなら、こういった短期バイト・単発バイトを簡単に見つけられます。
関連記事スキマバイトおすすめアプリ6選!実際使って分かったメリット・デメリット
短期バイト・単発バイトを見つけやすいサイト・アプリを2つ紹介するので、失業中のアルバイトに活用してください。
タイミー
タイミーは空いた時間ですぐ働けるスキマバイトアプリです。
スキマバイトアプリの中でも知名度が高く、全国で希望の単発バイトを見つけられます。
働いた人のコメントや評価で職場の雰囲気が分かるのもいいところ。
空いた時間に希望の仕事をサッと見つけ出し、働いたその日のうちに収入を得られます。
失業保険が減額にならない単発の仕事を探すなら、ぜひ入れておくべきアプリです。
マッハバイト
マッハバイトは採用されるとお祝い金としてボーナス1万円がもらえるという、とてもお得なサイト・アプリです。
ボーナスは短期バイトも対象で、どの求人も最低でも5千円はもらえます。
短期バイトでお祝い金が出るサイトはなかなかありません。
バイト代以外に臨時収入が入るので、求人への応募はぜひここから行うといいでしょう。
シェアフル
シェアフルは1日単位のスキマ時間で働ける仕事を探すアプリです。
空いている日をカレンダー登録しておくと、あなたの近くで募集してる仕事が入ってきます。
超々短期で働ける仕事ばかりを取り扱ってるので、失業中のアルバイト探しにはピッタリです。
しかも履歴書不要・面接なしで応募でき、採用されたあとは当日に就業先へ行くだけという手軽さ。
すぐに仕事を見つけてサクッと働けるから、好きなときにちょっとだけ働いてお金を増やせるんです。
思い立ったときにすぐ働けるよう、ひとまずこのアプリも入れておきましょう。