無職の人は、昨年の所得が20万円以下なら確定申告の必要がありません。
なので1年間無収入なら確定申告しなくてもいいのですが、確定申告をしない人でも住民税の申告はしておきましょう。
住民税の申告をしておかないと、さまざまな行政サービスが受けられずに、国民年金や国民健康保険料を多く取られる場合があるからです。
ずっと無職の人も、収入がゼロの人も、住民税の申告だけはしておいた方がいいですよ。
住民税の申告をした方がいい理由、申告のしかた、市民税申告書の書き方を解説します。
住民税の申告をしておいた方がいい理由
収入がゼロなら確定申告をしなくても、税金上は特に問題ありません。
しかし、税金上は問題がなくても社会保険上は問題が出てくるので、住民税の申告だけはしておいた方が無難です。
住民税の申告をしていないと役所が所得を把握できません。
そのため、収入が少ない人や収入ゼロの人向けの手続きを進められず、さまざまな行政サービスが受けられない可能性が出てくからです。
たとえば国民健康保険料の減免を申請するときは非課税証明書の提出を求められることがあります。
しかし、役所が所得を把握できなければ非課税証明書を発行できませんし、保険料を計算することもできません。
たとえ無収入でも結果的に高い保険料を支払うハメになるんですね。
関連記事【国民健康保険の減免】失業したときに申請すべき減額・免除制度
ほかにも次のような行政サービスで手続きを進められなくなります。
手続きできない行政サービス
- 国民健康保険料の減免
- 国民年金の免除
- 保育園や幼稚園の保育料の減免
- 児童手当の申請
- 児童扶養手当の申請
- 市営住宅の賃料
さらに、住民税非課税世帯であれば高額療養費の自己負担が少なくなったり、健康診断の費用が無料になったりするのですが、これらのメリットも受けられなくなります。
関連記事住民税非課税世帯のメリット:年収や条件をわかりやすく解説
なので、確定申告をする必要がない人でも、住民税の申告だけはしておくようにしましょう。
住民税の申告は、市区町村の役所に市民税申告書を提出することでできます。
参考
学生や主婦など扶養に入っている人は、扶養者の行う年末調整や確定申告で所得が把握できるので、住民税の申告は必要ありません。
住民税の申告のしかた
住民税の申告をするには、市区町村の役所に市民税申告書を提出します。
市民税申告書は都道府県ごとに「市民税・県民税申告書」「市民税・都民税申告書」「市民税・府民税申告書」と呼び名が異なります。
申告書は窓口にあるので、役所に行ってから記入するといいでしょう。
市民税申告書の書き方
市民税申告書は難しそうに見えますが、記入は簡単です。
神戸市の申告書を例に、書き方を見ていきましょう。
無職・無収入であれば、書くのは①と②の欄だけです。
①には必要事項を記入します。職業欄は「無職」でOK。個人番号欄はマイナンバーを記入してください。
②の「収入がなかった方」の欄には、無収入の間の生活状況を記入します。
「仕送りまたは扶養されていた」「遺族年金・傷病手当などを受給していた」「雇用保険(失業保険)を受給していた」などから選びます。
選択欄がなければ「貯蓄の取り崩し」などと記載するといいでしょう。
収入があったり控除が受けられる人はその他の欄も記載するのですが、計算がちょっとやっかいです。
収入や控除があるなら、確定申告してしまったら方がラクです。
下の記事を見ながらやると簡単にできるので、収入や控除があるなら確定申告をやってしまいましょう。
申告期間
住民税の申告期間は2月1日~3月15日です。前年の所得について、この期間中に申告しましょう。
3月15日が休日の場合は、次の平日が申告期限になります。
必要なもの
住民税の申告に必要なものは以下の通りです。
住民税の申告に必要なもの
- マイナンバーカード(通知カードの場合は写真付きの本人確認書類1点、または写真無しの本人確認書類2点が必要)
- 市民税申告書
- 印鑑
住民税の申告は郵送でも可能です。各自治体のホームページを確認して、必要書類を郵送してください。
無職のときの税金や社会保険の手続きは↓こちらにまとめてあるので、合わせて参考にしてください。
-
【退職後の社会保険・税金】失業中の年金や健康保険 得する手続きまとめ
会社を退職したら社会保険(健康保険・年金)と税金(住民税・所得税)は自分で払わないといけません。 「退職後に何をしたらいいかよく分からない」という人のために、失業したときに行う社会保険(健康保険・年金 ...
続きを見る
損しないためにも、忘れずに申告を
住民税の申告は、確定申告をしていれば必要ありません。
なので、無職の人でも基本的には確定申告で済ませるのがいいでしょう。
昨年に働いていた期間があるなら税金が戻ってくる可能性が高いので、確定申告した方が得になります。
「無収入だから確定申告はしないよ」って人は、住民税の申告を忘れずにしておきましょう。
いずれにしても、申告しないと自分が損してしまうだけです。
損しないためにも忘れず申告しましょうね。