会社を辞めて無職になると、年金は厚生年金から国民年金に切り替わります。
役所へ切り替えの手続きに行くと「付加年金にも加入されますか?」と聞かれるのではないでしょうか。
ここで「えっ?付加年金って何?」と思われる方も多いのでは?
実は、付加年金はぜひ加入しておいた方がいいお得な制度なんです!
年金制度の不安が叫ばれている中で、これほど割のいい制度はありません。
そんな付加年金の仕組み・加入方法・メリット・デメリットなどについて解説します。
↓今回の内容は動画でも解説しています。
付加年金とは
付加年金とは、月400円を国民年金に上乗せして支払うことで、将来の年金受給額が増える制度です。
付加年金を支払っておけば、65歳以降にもらえる年金額が年額で「200円×納付月数分」上乗せで支給されます。
たとえば20歳から60歳までの40年間付加年金を払い続けた場合、支給される金額は次のようになります。
付加年金の納付額と支給額
納付額:400円×480月(40年)=総額192,000円
支給額:200円×480月(40年)=年96,000円
このように、年96,000円の年金が一生支払われ続けます。
これは、65歳から年金を受け取るとして、67歳までの2年間受け取ればモトが取れるということ。
通常の年金が72~75歳まで生きなければモトが取れないのに対し、付加年金はたった2年でモトが取れるという驚きの制度なんです!
会社を辞めて1年間働かないのであれば、国民年金に付加年金をプラスすると年間の支給額が2,400円プラスされます。
付加年金の納付額と支給額
納付額:400円×12ヶ月=総額4,800円
支給額:200円×12ヶ月=年2,400円
年2,400円だと少なく感じますが、それが終身もらえるのがすごいところ。
国民年金(老齢基礎年金)の支給額は満額でも月65,141円(令和2年度)です。とても生活していくには足りません。
老後のお金を少しでも増やすためにも、付加年金にはぜひ加入した方がいいでしょう。
付加年金に加入できる人
付加年金に加入できるのは、「国民年金第1号被保険者」と「任意加入被保険者(65歳以上の人を除く)」です。
自営業者・フリーランス・無職・学生・アルバイトなどが該当します。
会社員や公務員などの第1号被保険者、専業主婦などの第3号被保険者は該当しません。
また、国民年金の免除を受けている人や、国民年金基金に加入している人は加入できません。
関連記事失業で国民年金が払えない時の免除制度 メリットと手続き方法
申し込み手続き
付加年金の申し込み手続きは、各市区町村役場の窓口で行います。
必要なものは年金手帳・印鑑・身分証明書です。窓口にある「国民年金付加保険料納付申請書」を提出すればOKです。
保険料は申し込んだ月分から納付していきます。納期限は翌月末までです。
付加年金のデメリット
メリットばかりの付加年金ですが、多少のデメリットはあります。
付加年金のデメリットを紹介します。
付加年金のデメリット
- 遺族基礎年金には反映されない
- 60~64歳に繰り上げ受給すると減額される
- 物価スライドが適用されない
まず1ですが、国民年金は本人が死亡したら遺族基礎年金が支給されるのに対して、付加年金からは遺族基礎年金や障害基礎年金は支給されません。
死亡一時金は出ますが、8,500円と微々たるもの。
つまり65歳までに死亡した場合は、付加年金で支払った保険料は無駄になります。
2の「60~64歳に繰り上げ受給すると減額される」という点は国民年金も同じです。
3は、国民年金が物価によって支給額が上がるのに対して、付加年金は物価スライドが適用されません。
インフレで物価が上がったときは、実質的な価値は目減りする可能性があります。
しかし、どれも大したデメリットでもないので、メリットの大きさを考えれば入った方が得でしょう。
また、もっと給付額を増やしたいのであれば、iDeCo(個人型確定拠出年金)と併用して加入することもできます。
まとめ:無職こそ付加年金に加入しよう
無職になったときは、出ていくお金を少しでも減らしたいものです。
とはいえ、付加年金はたった月400円。
将来的にはほぼ必ず得をするので、これだけは加入しておいた方がいいでしょう。
なお、無職になったときの税金や社会保険の得する知識は↓こちらでまとめてますので、あわせて参考にしてください。
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将来の年金を増やすためにも、ぜひ加入を検討してみてくださいね。