失業して無職になると途端に生活は苦しくなります。なかでも家賃は支出の大部分を占めるので、生活費を圧迫しますよね。
家賃を払うのが苦しくなってくると「このままいくとホームレス?路上生活者?生活保護?」という不安がよぎるでしょう。
もし「家賃が払えない!」なんてことになったときは、どうしたらよいのでしょうか?
失業で家賃が払えないとき、住むところを失ってしまう恐れがあるときは、住宅確保給付金という国の補助制度があります。
また、足りない生活費を無利子で借りられる総合支援資金や臨時特例つなぎ資金貸付といった制度もあります。
なので、まずは市区町村役場の福祉課に相談しましょう。安易に消費者金融から借りたりせず、まずは国の補助制度を利用してみてください。
家賃が払えないときに利用できる「住宅確保給付金」「総合支援資金」「臨時特例つなぎ資金貸付」について解説します。
家賃が払えないとどうなる?
もし家賃が払えないとどうなるのでしょう?
通常、家賃を滞納するとまず大家さんか保証会社から電話で連絡が入ります。
すぐに支払えば問題ありませんが、滞納したままでいると保証人に連絡が行き、最悪の場合は明け渡し訴訟で強制退去させられることもあります。
家賃を滞納したときの流れ
- 大家か保証会社から電話で催促が来る
- 内容証明郵便で督促状が届く
- 連帯保証人へ連絡が行く
- 明け渡し訴訟をされる
- 強制退去させられる
保証会社と契約していれば一時的に保証会社が立て替えてくれます。しかし、あくまでそれは大家さんへの収入保障であり、借主の家賃支払いが免除されるわけではありません。
支払いの猶予はせいぜい10日ほどです。なので、「家賃が払えそうにない」と気づいたときは真っ先に市区町村の福祉課へ相談しましょう。
住宅確保給付金とは
失業や生活苦で家賃を払えなくなったとき、国から家賃の補助を受けられる制度が住宅確保給付金です。
住宅確保給付金は「生活困窮者自立支援制度」の一つで、生活保護までは行かないけど生活に困っている人への支援制度です。
かつては「住宅支援給付金」と呼ばれていましたが、平成27年4月より「住宅確保給付金」として制度化されました。
支給条件として「失業状態であること(働く積極的な意思と能力があること)」のほかに、「住宅を喪失、または喪失するおそれのあること」「生計を一つにしている同居親族の収入合計額が基準以下であること」などの条件がありますが、生活保護に落ちる前のセーフティーネットとして機能しています。
実際に住むところを失う前から利用でき、家賃を滞納する前から申請できるので、行き詰まる前に困窮を防げるのがメリット。
返済義務もないから、家計の心配をすることなく就職活動に専念できます。
では、住宅確保給付金の支給条件・支給金額・申請方法を見ていきましょう。
支給条件
住宅確保給付金を受けるには、以下の条件をすべて満たしている必要があります。
住宅確保給付金の支給条件
- 離職後2年以内で65歳未満であること
- 離職前に主たる生計維持者であったこと
- ハローワークに求職申し込みを行うこと
- 国の雇用施策による給付等を受けていないこと
- 申請月の世帯収入合計額が、基準額(市町村民税均等割が非課税となる収入額の1/12)+家賃額以下であること。家賃額は、住宅扶助特別基準額が上限
- 申請時の世帯の預貯金合計額が、基準額×6(ただし100万円を超えない額)以下であること
- ハローワークでの月2回以上の職業相談、自治体での月4回以上の面接支援等
受給条件には世帯の収入を元にした収入要件、貯金額を元にした資産要件、就職活動を元にした就職活動要件があり、審査ではこれらを全て満たしていないといけません。
たとえば東京都1級地に住んでいる場合、世帯の預貯金額は単身世帯で50.4万円、2人世帯で78万円以下が基準です。
詳しい支給条件は市区町村の窓口で確認してください。
また、収入の中には失業保険も含まれます。失業保険受給中は収入要件を満たすのが難しいので、失業保険を受給する前か終了後に申請した方がいいでしょう。
支給金額
住宅確保給付金を利用すると、賃貸住宅の家賃額が支給されます。
ただし支給金額は地域ごとに上限があり、収入に応じた調整があります。詳しくは市区町村役場の窓口で確認してください。
目安としては東京都の一級地に住んでいる場合、単身者で月53,700円、2人世帯で64,000円の支給が受けられます。
支給期間は原則3ヶ月ですが、就職活動要件を順守した上で支給要件を満たしていれば、最長9ヶ月まで延長することができます。
申請方法
住宅確保給付金の申請は各市区町村役場の窓口で行います。
必要書類は自治体によって異なることがあるので、市区町村の福祉課で確認してください。
住宅確保給付金の必要書類
- 本人確認書類(免許証・パスポートなど)
- 離職関係書類(離職票・雇用保険受給資格者証など離職後2年以内であると確認できるもの)
- 収入関係書類(給与明細など申請者及び家族全員の収入が確認できるもの)
- 金融資産関係書類(預金通帳など申請者及び家族全員の資産が確認できるもの)
- 求職申込関係書類(ハローワークカードの写しなど)
- 住宅関係書類(賃貸住宅の賃貸借契約書の写しなど)
- 印鑑
総合支援資金と臨時特例つなぎ資金貸付
失業して生活が苦しいときの補助としては、他にも総合支援資金と臨時特例つなぎ資金貸付という制度があります。
総合支援資金とは「生活福祉資金貸付制度」の一つで、低所得者が生活再建までに必要な生活費を借りられる制度です。
住宅確保給付金とは違って返済は必要ですが、連帯保証人がいれば無利子、連帯保証人がいない場合でも年利1.5%で借りれます。
関連記事失業して生活費がない!借金する前に使いたい国の公的支援制度
また、臨時特例つなぎ資金貸付とは、貸し付け開始までの生活費として10万円までの資金を連帯保証人なし・無利子で借りられる制度です。
消費者金融のカードローンではありえないほど有利な条件で借りられるんです。
生活費に困っているときは、まずこういう国の制度を利用するようにしましょう。
そうすれば、借金の返済で苦しんだり生活保護の世話にならずに済むはずです。
「家賃が払えなくなるかも?」と感じたときは、早めに市区町村の窓口で相談してください。