会社を退職するときに給与明細を見て、住民税の支払い金額にびっくりする人は多いんじゃないでしょうか。
これから失業生活に入るのに、給料のほとんどが住民税で消えてしまっては、生活のメドが立たなくなります。
さらに追い打ちをかけるように、新たな住民税の納付書が届いて驚くことも!
なぜ住民税の支払いに驚くかというと、住民税は後払いのシステムになっているからです。
退職時に蓄えを残しておかないと、住民税を払えずたちまち生活が破たんしてしまいます。
急な支払いで焦らないためには、住民税の仕組みを理解しておきましょう。
転職・退職で会社を辞めるときに支払う住民税について、金額・仕組み・手続きを分かりやすく解説します。
↓今回の内容は動画でも解説しています。
目次
住民税の仕組み
住民税は前払いの所得税と違い、後払いのシステムになっています。
前年の所得を元に税額が計算され、6月から翌年の5月までの一年間で徴収されます。
納付方法には「特別徴収」と「普通徴収」があります。
特別徴収 | 給与から天引き |
---|---|
普通徴収 | 届いた納付書を元に自分で支払う |
サラリーマンは「特別徴収」で給与から天引きされますが、会社を退職すると自分で納付する「普通徴収」に切り替わります。
まずは「特別徴収」と「普通徴収」の違いを知っておきましょう。
特別徴収
「特別徴収」は会社の給与から天引きされる納付方法です。
多くのサラリーマンは「特別徴収」で毎月の給与から住民税が天引きされています。
住民税の金額は前年の所得を元に計算されており、6月から翌年の5月にかけて12分割で支払います。
たとえば、2019年の所得にかかる住民税は、2020年6月~2021年5月にかけて納めることになります。
普通徴収
「普通徴収」は自営業や無職の人のための納付方法です。
届いた納付書を元にコンビニや銀行窓口で支払います。
住民税の金額は前年の所得を元に計算されており、6月に届く納付書で一括で支払うか、4分割(6月・8月・10月・翌1月)で支払うかを選べます。
たとえば2019年3月に会社を辞めた人には同年6月に納付書が届きますが、それは「2018年1月~12月の会社員時代の給与にかかる住民税」ということになります。
退職時期で住民税の納付方法は異なる
支払い期間の途中で退職すると、天引きできない住民税が出てきます。
住民税の手続きはすべて会社がやってくれますが、天引きされる予定だった住民税をどうやって納めるかは、退職する時期によって異なります。
1月~5月に退職する人と6月~12月に退職する人とでは、納付方法がこのように違います。
1月~5月に退職する人
1月~5月に退職する人は、原則的に住民税の残り分を最後の給与から一括で天引きします。
これを一括徴収と言います。一括徴収は退職金から天引きされることもあります。
たとえば3月末で退職した場合、4・5月分の住民税が3月分の給与から天引きされます。
つまり、3月の給与は3・4・5月の計3ヶ月分の住民税を支払うことになります。
そのため、最後の給与は思った以上に少なくなるケースが多いんです。
住民税が給与や退職金でまかなえないときは、一括徴収ではなく普通徴収に変更してもらうこともできます。
その場合は退職後に自治体から納付書が送られてくるので、自分で残りの住民税を納めてください。
6月~12月に退職する人
6月~12月に退職する人は、退職と同時に特別徴収から普通徴収に切り替わります。
残った住民税は自治体から納付書が送られてくるので、それを元に自分で支払ってください。
たとえば9月末で退職した人には10月~翌5月分までの納付書が届きます。
これらは一括で支払っても分割で支払っても構いません。ただし、残りの月が少ないと一括しか選択肢がなくなることもあります。
また、会社に希望を伝えれば退職月の給与から一括徴収してもらうことも可能です。
転職後の住民税の納付方法
退職したら住民税は普通徴収になります。
普通徴収の人が再就職した場合、そのまま普通徴収を継続するか、転職先の会社で特別徴収してもらうかを選ぶことができます。
特別徴収に切り替える場合は、残りの納付書を会社に提出して手続きをしてもらってください。
そのまま普通徴収を継続する場合は、5月いっぱいまで自分で納付しましょう。
年末に在籍していれば、翌年の6月以降は会社が自動的に特別徴収に切り替えてくれます。
住民税の金額を把握しておこう
このように住民税は後払いのシステムになっているため、退職月によっては負担が大きくなります。
たとえば3月末に退職して一括徴収された人の場合、3月の給与で3ヶ月分の住民税を払った上に、6月にはさらに1年分の住民税を納めないといけません。
3月に払ってすぐ6月に払わなくちゃいけないので、住民税を二重で取られた気分になるでしょう。
急な支払いに慌てないためには、給与明細で1ヶ月の住民税の金額を把握しておくことです。
退職前に給与明細で金額を確認しておけば、退職後に支払う住民税の総額が分かります。
もし支払えそうにないなら、住民税の減免制度を利用しましょう。
自治体によっては住民税の減免制度を設けているところがあり、支払いを免除してもらえる場合があります。
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