失業して無職になるとつきまとうのがお金の問題。
収入がない状態が続くと「このままでは生活費がない!」という危機的状況の人もいるのではないでしょうか。
「仕事を辞めてお金がない…」
「転職先が見つかるまでの生活費が足りない…」
「失業保険だけでは苦しい…」
仕事さえ見つかれば暮らしを立て直せるんだけど、そこまでの生活費が足りないというのはもどかしいものです。
かといって借金をするのは嫌だし、生活保護に頼るのは違う気がする・・・。
そんな「あと少し食いつなぐお金」が必要な人は、国の公的支援制度を活用しましょう。
条件次第では無利子でお金が借りられる「総合支援資金」や「臨時特例つなぎ資金貸付」という制度があります。
失業して生活費がない人が使える国の公的支援制度について解説します。
目次
まずは失業保険から
何はなくとも、会社を辞めたときの生活費の足しになるのは失業保険です。
失業保険は在職期間や退職理由によっては最大240日間(障がい者は360日間)、給料の50~80%が受け取れます。
会社を辞めて無職になったら、まずはハローワークで手続きをしましょう。
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とはいえ、中には失業保険が受給できない人もいるでしょう。
雇用保険に加入していなかったり、加入していても期間が足りない人は失業保険が受給できません。
失業保険が受給できない人の例
- 雇用保険に加入していない
- 雇用保険の加入期間が足りない
それに自己都合で退職した人には2ヶ月(5年以内3回目の退職からは3ヶ月)の給付制限があるため、実際に失業保険がもらえるのは退職してから2ヶ月後(または3ヶ月後)です。
貯金があるなら食いつなげますが、中には「明日食べるお金すらない」という人もいるでしょう。
そういう人に向けての国の公的支援制度が総合支援資金です。
無利子で生活費が借りられる「総合支援資金」
総合支援資金とは、失業者や高齢者といった生活困窮者へ一時的に生活資金を貸付ける制度です。
社会福祉協議会やハローワークによる継続的な相談支援とセットで行われます。
条件次第では無利子で借りられ、消費者金融やカードローンより圧倒的に有利。
返済もしやすいので、借金に頼る前に自分が対象かどうか確認してみましょう。
制度の概要
先に総合支援資金の制度の概要について説明しておきます。
総合支援資金は都道府県の社会福祉協議会が低所得者向けに行う「生活福祉資金貸付制度」の一部です。
生活福祉資金貸付制度には「総合支援資金」のほかに「福祉資金」「教育支援資金」「不動産担保型生活資金」の4種類があり、それぞれ条件や利率が決められています。
総合支援資金 | 生活支援費、住宅入居費、一時生活再建費 |
---|---|
福祉資金 | 福祉費、緊急小口資金 |
教育支援資金 | 教育支援費、就学支度費 |
不動産担保型生活資金 | 不動産担保型生活資金、要保護世帯向け不動産担保型生活資金 |
この中で生活費として借りられるのが総合支援資金で、用途によって「生活支援費」「住宅入居費」「一時生活再建費」に分かれています。
借りられる金額・利子
総合支援資金で借りられる金額は、資金の用途によって以下のように決まっています。
資金の種類 | 資金の用途 | 貸付金額 |
---|---|---|
生活支援費 | 生活を再建するまでの間に必要な生活費 | 月20万円まで(単身世帯は月15万円以内)、原則3ヶ月間(最大12ヶ月間まで延長可) |
住宅入居費 | 敷金・礼金など賃貸契約を結ぶために必要な資金 | 40万円まで |
一時生活再建費 | 就職活動、技能習得、家賃や公共料金の立て替え、債務整理に必要な費用 | 60万円まで |
総合支援資金の返済期間は10年。連帯保証人がいれば無利子で借りられます。
連帯保証人なしでも借りられ、その場合の金利は年1.5%となります。
こうやって見ると、消費者金融と比べても格段に安い金利で借りられるのが分かりますよね。
条件・審査
ものすごく有利な金利で借りられる総合支援資金ですが、そのため対象者の条件は厳しめです。
基本的には社会福祉協議会やハローワークからの支援で自立が見込める人でないと借りられません。
具体的には、以下のすべての要件に当てはまる人が対象となります。
- 低所得者世帯(市町村民税非課税程度)で、失業や収入の減少などによって生活に困窮していること
- 公的な書類などで本人確認が可能であること
- 現在住居のある人、または、住居確保給付金の申請を行い、住居の確保が確実に見込まれること
- 法に基づく自立相談支援事業などによる支援を受けるとともに、社会福祉協議会とハローワークなど関係機関から、継続的な支援を受けることに同意していること
- 社会福祉協議会などが貸付け及び支援を行うことにより、自立した生活を営むことが可能となり、償還を見込めること
- 他の公的給付または公的な貸付けを受けることができず、生活費をまかなうことができないこと
また、審査には最低でも1ヶ月がかかります。
銀行や消費者金融と比べると、総合支援資金の審査にはとても時間がかかるのがネック。
そのため、貸付開始まで当面の生活費をまかなう制度として、「臨時特例つなぎ資金貸付」があります。
臨時特例つなぎ資金貸付とは
貸付開始まで間、当面の生活費として10万円までの資金を連帯保証人なしで無利子で貸し付ける制度
総合支援資金の審査が下りるまでは、臨時特例つなぎ資金貸付もあわせて利用するといいでしょう。
申し込み方法・必要書類
総合支援資金に申し込むには、事前にハローワークでの求職申込みが必要です。
また、総合支援資金は住居のある人を対象にしているため、住居がない人は先に住宅確保給付金の申請も必要となります。
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申し込みをするには生活困窮者自立支援制度における自立相談支援事業の利用が必須です。
自立相談支援機関を利用した上で、市区町村の社会福祉協議会に書類を提出することになります。
詳しい流れは社会福祉協議会のホームページをご覧ください。
必要書類は以下の通りです。
- 総合支援資金の借入申込書(社会福祉協議会の窓口で交付)
- 健康保険証及び住民票の写し
- 世帯の状況が明らかになる書類
- 連帯保証人の資力が明らかになる書類
- 求職活動などの自立に向けた取り組みについての計画書
- 借入申込者が、他の公的給付制度または公的貸付制度を利用している場合、または申請している場合は、その状況が分かる書類(ハローワークが発行)
- 借入申込者の個人情報を、総合支援資金の貸付けに必要な範囲において関係機関に提供することについて記載されている同意書
- 住宅入居費の借り入れを申し込む場合の添付資料(入居する住宅の不動産賃貸契約書の写し・不動産業者の発行する「入居予定住宅に関する状況通知書」の写し・自治体の発行する「住居確保給付金支給対象者証明書」)
- 総合支援資金の借用書
- その他、社会福祉協議会が必要とする書類
審査が下りると生活支援費と一時生活再建費は本人の口座に、住宅入居費は家主・不動産業者の口座に振り込まれます。
消費者金融や生活保護に頼る前に相談を
このように、失業して生活費が足りない人には国によるセーフティーネットがあります。
連帯保証人なしでもOKだし、無利子または低金利という非常に有利な条件でお金を借りられるんですね。
手続きが煩雑ではありますが、一時的にお金が足りない人は消費者金融や生活保護に頼る前に、こういった制度を利用できないか確認してみましょう。
失業時に利用できる制度はたくさんあるので、まずは各市区町村役場の福祉課で相談されるのをおすすめします。
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